突然の連絡、それはほとんど顔を合わせたことのなかった父の死亡を伝える連絡でした。正直、自身の父親だとわかってはいても育ての親という認識はなく悲しくともなんともありませでした。
何はともあれ警察の指示に従い、生前住んでいたアパートへ向かって遺品整理を行いました。どうやら土木建築関連の仕事をしていたようで、それらの作業着やら道具が散在しておりました。勤めていた先の会社社長さんは整理して判断のつかないものはすべて処分してくれるということで、その言葉に甘えることにして、一応形見と呼べるもの以外はどんどん仕分けていきました。もともと物をあまり持たないようで、整理にはさほど時間がかかりませんが、作業着の内ポケットからひらりとメモが落ちました。拾い上げるとそこには電話番号とメモが記載されておりました。一番びっくりしたのは、私とほぼ同じ字体だったということ、本当に親に似るというのはあるんだなと感じました。肝心のメモに目を通すと・・○○弁護士事務所 ○○さん
弁護士事務所!?とびっくりしましたが、そこでは冷静に遺品整理を続けました。しかし、かばんの中にも同じ番号とメモが記載されているぼろぼろの紙を見つけました。どうやらこのメモはなくしてはならないもので複数用意していたと推察されます。どの程度重要だったんでしょうか。弁護士事務所と聞くだけでだんだん怖くなってきました。現場を警察と勤め先へ引き渡して以降、その弁護士事務所を調査することにしました。調査といってもインターネットで検索するだけです。そうしましたら、得意分野や実績例が出てきまして、その内容というのは、会社と個人のお金のトラブル関係ばかりでした。給料未払いが続いていたのか、はたまたもっと違う問題が発生していたのか・・・。今となっては知る由もない生前の父親のトラブル、そして気にも留めていない自分がここにおります。ですが、正直にいうとあまり見たくなかった遺品でもあります。